(真相に辿り着いた場合)
エンディング「あやつり人形と呪いの糸」
「「ノロイトケロー!!!!」」
ふたりが解呪の呪文を唱えると、アレアノの体から黒いもやが出て、消えていく。
これで「あやつり人形の呪い」は解けた。
……呪われていた証拠も残っている、王も事故だと納得してくれるだろう。
アレアノは、すべて終わったのだと胸を撫でおろした。
―――思えば、私の人生は「あやつり人形」みたいなものだった。
田舎の貧乏な家に生まれ、自分の意志も持たずに働いた。
王国へ来ても、王の命に従うだけのあやつり人形。……そうなるのだと思っていた。
けど、私にかけられた「あやつり人形の呪い」を解いてくれたのは、キルオ、あなただった。
キルオとの日々はただただ楽しくて、幸せだった。
……トナエル、あいつが現れるまでは。
あいつが来て、また私はなんでも言うことを聞く「あやつり人形」になってしまった。
だから次は、自分でこの呪いを解こうと、そう決めて……。
アレアノの小さな手が震えている。
記憶がないとはいえ、自分が計画し、そして……人を殺した。
その「呪い」は一生自分につきまとうのだろう。
どんな顔をしてキルオを見ればいいんだろう?アレアノはキルオを見れず、黙ってうつむいていた。
「―――思えば、俺の人生は「あやつり人形」みたいなものだった」
キルオがそう言い、アレアノの手を握る。
「勇者として生まれ、魔王を倒すためにひたすら鍛錬してきた。
笑うことも忘れ、王に、民に、あやつられたように勇者を演じていた。
でも、アレアノ、お前に出会って俺は変わった。
俺にかけられていた「あやつり人形の呪い」を解いてくれたのは、アレアノ、君だ」
アレアノは、黙ってキルオの話を聞いている。
「トナエル、あいつが来て、俺はまた「あやつり人形」になってしまった。
王に逆らえず、王の血を引くトナエルの機嫌をとるばかりで。
本当はなんとなく気付いていた、アレアノがトナエルを嫌ってるんじゃないか?って。
でも俺は自分に自信がなくて、トナエルといる方がアレアノは幸せになれるだろうって自分を騙して……逃げていた」
キルオがすべての真相を話す。
アレアノもそれを聞き、真相を打ち明けた。
ふたりとも、なんとなく違和感には気付いていたのだろう。
「俺は呪いを制御できるから、俺にかけられた呪いは、いずれ解呪の宝石を見つけて解けばいい。
……俺もトナエルを殺そうと計画していた、ふたりで殺したようなもんだ」
キルオがそう言った。
人を殺した罪悪感、その「呪い」は解呪の宝石でも解けることはないのだろう。
それを背負い、ふたりは生きていく。
ふたりをつなぐ糸が、赤い糸ではなく、呪いの糸だとしても。
「あやつり人形の呪い」
おわり。