（ストーリー）

解剖、解体、調査、調べることにあなたの才能は特に秀でている。

コミュニケーション力も高く、研究者としては珍しい明るい性格だった。

不幸を追い求める歪な性質を除けば、一番まともな人間だっただろう。

人を殺し、罪人としてここに連れてこられたジョーに対して、ここの者たちはまったく臆することなく普段通り接してくる。もっと虐げられたいのに、どうしてだろう？

「そうですね、私が昔作った爆弾で数万人の命が奪われました。今も誰かが殺されているでしょう。それでも創る事をやめられない、研究者というのはそういうものなのです。だからこそ、狂っているくらいで才能あるあなたを虐げたりしません」

マザーフェイス、彼女は聖母そのものだった。

殺した仲間たちより深く早く自分を理解してくれ、美しい髪は殺した幼馴染より艶やかで、その包容力は殺した両親より広い。

そんなマザーや他の天才たちとの研究は、悪くないものだった。

ジョーは、気づいてしまう。これは幸せだ、と。

だからこそ彼は、ゾンビウィルスを奪う事を決意する。

マザーが創り出し、皆で作り上げた最高傑作、これに感染してゾンビになる。

こんな不幸なことはなかなか無いだろうから。

 

（昨日の出来事）

ゾンビウィルスが完成し、マザーが上層部にその報告をした。

「二日後に受け取り人が来る」とのこと。

「完成祝いに飲もうぜ！」とあなたが切り出す。とりあえず皆を酔わせて早めに寝て貰おう。

徹夜明けではあったが、興奮は収まらず会議室でパーティーが始まる。

その後は、もう悲惨なものだった。

数時間たち、マザーとムテキが部屋へ戻った。サイカは酔ったのか、寝転がっている。

ギョウは……起きているのか寝ているのかよくわからないな。

とりあえず、研究室へゾンビウィルスを見に行く事にした。

完成したゾンビウィルスを盗む、それ自体は容易なことだ。

そもそも5人しかいないこの研究所では、完成品の管理方法など全員が熟知している。

あなたが懸念していた事は、ちゃんと自分だけが感染されるのか？という点だ。

自身がゾンビになりマザーに噛みつき感染させる、という悲しすぎる結末のためには、一緒に感染してしまっては台無しだ。念には念を。もう一度、ゾンビウィルスを調べたい。

……は？

そこにあったのは数日前とはまったく形を変えたウィルスだった。

こんな事が出来るのは神代サイカくらいだろう。

調査の結果、

・ゾンビウィルスの感染者は親ゾンビとなり、子ゾンビを操れる。

親ゾンビは思考を失わないが、子ゾンビは失う。

という性質に変えられていることが判明した。他にも、色々と変化がありそうだったが、もうどうでもいい。これじゃあ、感染しても不幸になれないじゃないか！

予想外の出来事に苛立ち、ゾンビウィルス専用の注射器を壊してしまった。

その際に、少し手を切ってしまう。

予備もあるし謝れば済む話だが、なんだか気まずい。壊れた注射器をサイカのポケットにでも入れてやろうと、会議室へ戻ると、もうサイカとギョウはいなかった。今日は全てがうまくいかない、不幸な日だ！

良く見ると椅子に誰かの上着がかけてあった、もういいや、これにつっこんでおこう。

会議室を出ようとドアノブに手をかけると外に人の気配を感じ、そっと覗いてみた。

マザーだ！マザーは研究室へ入っていく。それを見届けるとあなたも静かに会議室を出た。

自室へ戻り、作戦がすべて失敗に終わった不幸を噛みしめ、幸せそうに眠りについた。

 

（目標）

次の日の朝、結局ゾンビウィルスは盗まれていた。

各々が犯人探しを始めたのに乗じて、あなたも犯人を捜すことになる。

自分が一番不幸になるにはどうすればいいか？あなたの原動力は常にそこへ向いている。

あなたの目標は以下となる。

・マザーひとりだけから犯人として投票される。（8点）

・犯人に投票する。（3点）

 

（証拠品）

「ゾンビウィルスベータ計画書」

サイカの部屋で見つけた。

内容はサイカにしかわからないが、おそらくゾンビウィルスを改良した詳細だろう。

 

「指紋」

ゾンビウィルスを保管しているケースで見つけた。

自分の指紋はつかないよう注意したので、自分のものではない。

調査の結果、それはマザーの指紋だった。

 

（行動の指針）

不幸を追い求める、その行動原理は共感することが難しいものでしょう。

密談時にマザーに疑われる事があなたの物語では最重要なのかもしれません。