「始まりと終わりのマスコット」
プレイ人数:4人専用
プレイ時間:約1時間30分
4人用のマーダーミステリーです。コメディ寄りの作品となっております。
ゲームマスターは不要で、プレイヤーが、4名必要になります。
それでは、以下の導入を読み、説明書へ進んでください。
人はそう呼ぶ「始まりのマスコット」。
そいつの名前は、夕鳶ハジメ(ゆうとび はじめ)。
CM出演数日本1位、契約企業数日本1位、関連商品即日即売、推定年棒30億超え。
いまや、日本で一番有名な人物だが……夕鳶ハジメの名を知る者は誰もいない。
「おこおこー!イバラユーギだぞー!」
着ぐるみを纏い、可愛らしく跳び跳ねる謎のマスコットキャラ。
そう、夕鳶ハジメは、このマスコットキャラ「イバラユーギ」の"中の人"だった。
自身で考えたマスコットキャラが動画サイトで爆発的に人気になり、気付けば日本一有名なマスコットキャラになっていた。
それを皮切りに、個人制作のマスコットキャラが大人気に。
今やそれらはマスコッターと呼ばれ、さまざまなイベントなどに出演する時代を象徴する職業である。
「それではどうぞ!!マスコットランキング上位5名の皆様です!!」
―――とあるホテルのパーティー会場。
そこには、有名マスコッターが一同に揃っていた。
そうそうたる顔ぶれに、会場は大いに賑わい、パーティーは大成功のまま終幕する。
「お疲れ様です!マスコッターの皆さんは、特別に最上階をご用意しています。お部屋も別々に取ってありますので、おくつろぎ下さいませ」
黒服を着た男が深々と頭をさげ、マスコッターの前から姿を消した。
そう、マスコット業界には暗黙の了解がある。
"中の人"が誰なのか?それが分からないよう細心の注意を払われていた。
マスコットたちはそれぞれ自分の部屋へ行き、着ぐるみを脱ぎ捨て、最高の景色を見ながら眠りにつく。
―――次の日の朝。
ホテルの朝食を取るため、マスコッターの中の人たちが集まっていた。
誰がどのキャラの中の人なのか?誰もがその疑問を胸に抱いてはいたが、詮索はしない。
静かに口を開くこともないまま朝食が続く。
その沈黙を破るように、チャラそうな男が走ってきた。
「誰だ!!おい!!この中に犯人がいるんだろう!?」
その男はそう叫び、集まった4人に飛びかかろうとするが、追いかけてきた黒服たちに捕まってしまう。
「離せ!!俺は有名マスコッターだぞ!!おいっ!!!」
男の抵抗も虚しく、そのままどこかへと連れ去られてしまう。
「失礼しました。皆様は気にせずお食事を続けてください」
残った黒服が、何事もなかったかのようにそう告げ、食堂を後にした。
何が起きたのかと唖然としているマスコッターたち。
そうこうしているうちに、マスコッターのひとりが呟いた。
「おい、ニュースみてみろよ、凄い事になっているぞ」
全員がスマホを取り出し、一斉にニュースサイトを開く。
【流出!!イバラユーギの"中の人"!!】
どこを見てもそのニュースで持ち切りだ。
イバラユーギが着ぐるみを上半身だけ脱ぎ、酒をたしなむ写真が一緒に掲載されていた。
それは、どう見てもこのホテルで昨夜撮られたであろう写真だった。
夢が壊された!裏切られた!などの悪評が瞬く間に広がり、イバラユーギの地位は一晩の間に転落していた。
企業からは契約破棄され、CMはすべて打ち切り、多額の違約金を背負ったらしい。
そう、彼は、社会的に殺されたのだ。
「わ、わたし帰ります!!」
怯えたように女が立ち上がり、逃げ出そうとする。
「待て!!」
が、それを入り口の近くに座っていた男が制止した。
「この中に犯人がいるのに、このまま帰せるかよ。今すぐ全員通信機器を出せ!」
体格の良い男がそう叫び、自分のスマホを机に置く。
「賛成です。自分の写真が撮られていないという確証が得られない以上、今すぐにでも犯人を見つけるべきだ」
奥の席で傍観していた男が立ち上がり、スマホを机に出した。
「うわ、もう最悪~!他人に自分のもの触られるの本当は嫌なんだからね~」
わがままそうな女が気だるそうにスマホを並べる。
「わ、わ、私も出します!すぐ出します!」
逃げようとしていた女もスマホを慌てて差し出す。
こうしてマスコッターたちの犯人捜しがはじまった。
このマーダーミステリーは4人専用となっております。
準備ができましたら「説明書」へ進んで下さい。