top of page
S__14032914.jpg

「終わりのマスコット」

 

結局事件の真相は明かされないまま、この日は全員帰宅する事になった。

 

【流出!トップマスコッターたちの中の人!!】

 

次の日、そのニュースが世間を賑やかせていた。

上位マスコッターの転落により、ブームはいっきに収束し、終わりを告げる。

それどころか、マスコットは忌み嫌われる存在となっていた。

 

―――始まりは、臆病な自分を変えたかっただけ。

 

とあるビルの屋上。夕鳶ハジメの長い髪を風が揺らす。

深く息を吸い、静かに吐き出した。

私は、無責任で自分勝手で、それなのにやっぱり臆病で。

ここまで来たのに、後一歩が踏み出せずにいる。

 

「やっぱり、これが無いと何も出来ないみたいだね」

 

蔑むように少し笑い、それを手に取り……。

 

……身に着けた。

 

―――終わりは、臆病な自分を変えられなかったから。

 

「始まりと終わりのマスコット」

おわり。

イバラユーギ 2019.10~

bottom of page