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「終わりのマスコット」
結局事件の真相は明かされないまま、この日は全員帰宅する事になった。
【流出!トップマスコッターたちの中の人!!】
次の日、そのニュースが世間を賑やかせていた。
上位マスコッターの転落により、ブームはいっきに収束し、終わりを告げる。
それどころか、マスコットは忌み嫌われる存在となっていた。
―――始まりは、臆病な自分を変えたかっただけ。
とあるビルの屋上。夕鳶ハジメの長い髪を風が揺らす。
深く息を吸い、静かに吐き出した。
私は、無責任で自分勝手で、それなのにやっぱり臆病で。
ここまで来たのに、後一歩が踏み出せずにいる。
「やっぱり、これが無いと何も出来ないみたいだね」
蔑むように少し笑い、それを手に取り……。
……身に着けた。
―――終わりは、臆病な自分を変えられなかったから。
「始まりと終わりのマスコット」
おわり。
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