「タイヨウ」
キャラクターシート
あなたがタイヨウで間違いなければ、下へスクロールして下さい。
「タイヨウ」
ハレが図書室から走り去った。ペガサスが死んだからだ……男は女に涙を見せたくない、分かるぜ!
少し時間をおいて病室に戻ると、ハレは何も無かったような顔で「さっきはごめんね」と笑った。
しばらくすると、白衣を着た大人が俺たちを迎えに来た。
「時間です」と淡々とした口調で言われ、俺たちは勉強部屋へと移動する。硝子に囲まれた部屋で白衣を着た大人に監視され、勉強をする。これは昔からずっと続いている日常で、俺たちにとっては”当たり前”だ。
勉強はそこまで得意じゃないし、ずっと見られていると疲れてしまう。
マリス先生だけは、あんな目で俺たちを見ない、厳しいけど……良い先生だ。
―――夜が訪れ、いつも通りの一日が終わろうとしている。
ベッドで寝る前に4人で話している時は最高楽しいんだ。俺はそのままゆっくりと眠りに落ちた。
「……タイヨウ、タイヨウ!!」
ちょっと嫌な夢を見ていた。ホシノの声が聞こえて来る。薄っすら目を開けるとホシノが俺の身体を揺さぶっていた。
窓から空を見ると真っ暗で、まだ深夜だと予想できた。
「なんだよ……こんな時間に」とホシノに聞くと、ハレとユキが病室からいなくなっていると教えられた。
さっき見た夢を思い出す。俺とホシノがこっそりと隠している宝物”賢者の石”が無くなっている夢。
「もしかしたら、俺たちが隠してる”賢者の石”を取りに行ったんじゃねぇか!?」
俺はつい寝ぼけてそんな事を言ってしまった。冷静に考えれば、ハレとユキが盗みなんてする訳もないのに。
俺の言葉にホシノも不安になったのか、中庭に行くことになる。
薄暗い廊下を進み、中庭へ向かう途中、誰かが走ってきた。
ハレだ。ハレは何も言わず俺たちとすれ違い、病室へと戻っていった。
珍しくどこか怒っているように見えた。何があったんだろうと動揺していると、続いてユキも中庭から現れる。
「ハレに嫌われちゃったかもしれない……私は嘘をついていないの、信じて欲しい。
一緒にそれを証明して欲しい」
ユキが瞳を潤ませ、今にも泣きそうな声で俺たちにそう言った。
ハレが女の子を泣かすなんて考えられない。
いつも女の子には優しくしなきゃだめだよって俺に口うるさく言ってくるのに。
何があったんだ?
俺とホシノは、ユキが落ち着くのを少し待ち、彼女の話を聞くことにした。
だって、ハレとユキが喧嘩するところなんて見たくないから。